仕事から帰宅したらお部屋の照明を点ける。それは毎日の暮らしの中で当たり前にしていること。
実はそんなインテリア照明には、次の3つの役割があります。
«インテリア照明の3つの役割»
①機能面:空間を明るく照らす
②ビジュアル面:インテリアのテイストを整える
③心理面:心地よさを生み出す
この3つを意識してみるだけで、今のお部屋の照明ついて、「どこか満足のいっていない」「でもどうしたら良くなるのかわからない」といった方の悩みを解決するきっかけになるかと思います。
それでは、ひとつずつ説明していきたいと思います。
まず1つ目は、照明という言葉のまま「光を出す道具」としての役割です。
見えないものを見えるようにするという意味で、暗い空間を明るくすることは、生活する上で欠かせないことです。
ただし、必要以上に「明るすぎる」「見えすぎる」照明は、最後に③で説明する「心地よく感じる空間」とは反比例してしまいます。
実際に、人類が誕生して最初の照明は、あたたかい火の灯りがその役割をしていました。白熱電球が発明されてからは電気になりましたが、ベースは火の灯りを踏襲しています。
しかし、これまでの日本は、働く人の生産性を高めるために効率的な「蛍光灯」の導入が進み、「明るい=良い」という感覚が刷り込まれてしまいました。
また、近年ではLEDの発展により、省エネで明るい電球や照明もどんどん増えてきています。
インテリア照明における「空間を明るく照らす」という役割は、単純に明るくすればよいのではなく、あくまで、夜に適した明るさと必要な場所があるということを、ここでは理解していただけたらと思います。
2つ目は、テーブルやラグ、カーテン、雑貨などと同様にインテリアとしての役割です。
インテリアとは家の中を彩ることですので、どんなテイストのお部屋で過ごしたいか?は暮らす人の好みとなります。
テイストとはイメージのカテゴリーみたいなもので、例えば、北欧、シンプルナチュラル、アンティーク、インダストリアル、アメリカンヴィンテージ、和風レトロなどがあります。
照明を選ぶ際も、お部屋のテイストにあったものを取り入れることで、インテリアを整えることができます。(実は選ぶ照明一つでインテリアの質をグッと上げることもできるのです。)
せっかくインテリアのテイストをそろえていても、照明だけは?…とならないように、インテリアを検討する際は、照明のテイストも近しいものを選ぶことをおすすめします。
インテリアにおける照明とは 、夜の時間を心地よく過ごすためにあります。
これがインテリア照明の役割の中で、最も価値のある本質的な部分、かつイメージが難しいところでもあります。
例えば、ソファの役割で同様に考えてみると、
①機能面:座るため
②ビジュアル面:インテリアのテイストに合ったデザイン
③心理面:くつろぐ(座り心地がよい)
となり、いくら①機能面と②ビジュアル面が満たされていても、座面の柔らかさ、座高や背もたれの高さといった③心理面につながる部分が足りていないと、長い時間を過ごす家での暮らしにとって、とてももったいないことになってしまいます。
残念なことに、賃貸物件などの天井によく付いている平べったいシーリング照明は、明るくする①機能面のみで、②ビジュアル面と③心理面が抜け落ちているのです。(近年、色や明るさを変えられるようなシーリング照明も出ていますが、基本的には①が最優先されています)
このように、日本ではいつしか 「照明は部屋を効率的に明るくするもの」 という①機能面の役割がメインになっているケースが多くみられます。
一方、北欧では、③心理面の役割を無意識に理解していて、お部屋に心地良さを取り入れることがとても上手です。
夜に日中のような明るさを求めず、暖色のやわらかい灯りをいくつか散りばめて、そこで暮らす人たちがリラックスできる照明空間を作っています。
このような空間を作るためのインテリア照明の基本は、暮らしの中で必要な場所に、その人が必要な明るさの灯りを足していくということ。
そのことだけも意識することで、照明の大切な役割である「心地良さ」を取り入れることは難しいことではないのです。